デザイン事務所アトリエセツナの日々を綴るブログです。

山形市桜田東4-8-4
e-mail : info☆setsuna-design.net
URL : www.setsuna-design.net
Copyright Atelier SETSUNA,All Rights Reserved.
<< November 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
東池袋 三角ビル リノベーションプロジェクト/KAKULULU 其一
こんにちは。
ゴールデンウィーク最終日、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、先日も書いた、池袋のカフェKAKULULUについて、内装をメインに、写真たっぷりでご覧いただこうと思います。
三角ビルは、その名の通りY字路の角に建っており、決して広いとはいえない建築面積です。
しかし、地上四階・地下一階そして屋上という階層を持つため、各階の印象をコントロールしながら空間体験を演出することができると考えました。
この記事では、主に二階の雰囲気を見ていただきます。

 
狭小建築らしからぬ配席計画。座席間をゆったりと。
12席中、6席がソファです。
家具もすべて、アトリエセツナのオリジナルプロダクトで構成しました。
 

 
家具の素材は床と同材のホワイトオークで統一。
黒皮のスチールと合わせて、生っぽい素材感を狙いました。
[Taro sofa]の2シーターと1シーターでまとめました。
金属加工は毎度お馴染みのOILSTONE Garageの菅野透くんです。
今回も完璧な仕事でした。
ありがとう。
 

 
2シーターのソファには[NULTO low table]をあわせました。
 
ダイニングチェアはお馴染みの[fai chair]です。
このプロジェクトのために細かなディテールを再設計し、最終形態になりました。
 
本棚の下段とテーブルの天板の高さを揃えて設計。
家具同士のクリーンな繋がりを意識しました。
 
ペンダント照明はオーナーのセレクトで神戸のFlameさんのプロダクトを。
真鍮っていいですよね。
 

 

 

 
生のスチールとオークを合わせた本棚には、オーナーのブックコレクションがぎっしりと。
自由に手にとって読めるとのことなので、これかの季節、コーヒーを飲みながらいい時間が過ごせそうですね。
 
店内のグリーンは千駄木の平澤剛生花店さんが担当してくれました。
植物に対する真摯な態度。とても気持ちのよいお仕事をされる方です。
 
一番奥には壁を開口して作ったスリット状のFIX窓があります。
三角ビルのシンボルツリーが顔を覗かせます。
気持ちのよい籠もり感。苦労して分厚いコンクリートの壁をくり抜いただけの価値が十分にありました。
 
[TARO sofa x NULTO low table]
小窓から差し込む光が柔らかで気持ちのよい席です。
 
二階のRC壁はすべて、オーナーと友人のボランティアの皆さんによって、自然塗料で塗装されました。しかし、全面白では空間が甘くなり過ぎるということから、新規で作ったトイレの外側の壁には、山形の柏倉材木店さんでの倉庫で眠っていた古い材木を陸送して貼ることにしました。
このビルの地下に宿る歴史が二階まで突き抜けて可視化されたようなイメージで設計しました。
風化しかかった煤けた古材は、オイルフィニッシュによって固有の色を取り戻し、きちんと製材して貼り込むことで、クリーンな味わいを得ました。
このプロジェクトの施工を取り仕切ってくれたcoconaの佐藤誠さんは、樹種固有の色味を厳選しながら、二日がかりでこの壁を貼ってくれたそうです。
誠さんの細やかな目線によって、建物全体が家具レベルのクオリティで施工されました。
月に数日しか現場に行けない僕に代わって現場のすべてを掌握し、高水準な施工を行ってくれた誠さん無くして、このプロジェクトは語れません。
 

 
階段室に設えたサインはFARVEの永易直樹さんによるもの。
永易さんはKAKULULUのロゴマークや、ショップカード、メニューなどの紙媒体、ホームページなどをトータルでデザイン担当してくれました。
思慮深く、サプライズを含んだプレゼンテーション、通称「直樹マジック」は毎回現場を沸かせてくれました。永易さんとの出会いはこのプロジェクト中の大きな収穫で、これからも一緒に仕事をしていきたいと思えるデザイナーとの出会いでした。
引きあわせてくれた、オーナーの悠君に感謝です。
 
「パリを思わせる」という感想が出るほどの、狭くて少し急な階段室。
この階段によって各階は繋がれ、印象の異なる空間体験の入り口となります。
茶室でいうところの「にじり口」のような、狭い入り口を通って違う世界に入っていくような感覚です。
 
トイレの壁は漆喰系の金ゴテ仕上げを施しました。
この建物の新規の壁はすべて左官仕上げです。微妙なコテ跡の残し加減は僕がお願いしたとおり。
左官職人の竹中さん、いい仕事ありがとうございました。
 
防水の劣化が著しかった屋上は、防水し直してデッキ貼りに。
防水塗装もボランティアの皆さんで行われました。
溶融亜鉛メッキを施したフェンスもOILSTONE Garageによるものです。
この屋上では、ヨガ教室や貸し切りバーベキュープランなどを行う予定とのこと。
ビル一棟のまるごとリノベーションだからできる、ワクワクする要素です。
 
5月1日のグランドオープンから数日。
建物が「現場」から「店」に変わりました。
人が働き、言葉を交わし、時間を共有する空間です。
 
これからこの空間で、たくさんのお客様が過ごすであろう様々な時間に思いを馳せることが最近の楽しみです。
次回は、今回の記事では紹介していない、一階や外観、地下のギャラリースペースについて書きたいと思います。まだまだ紹介したい様々な表情が、このビルにはたくさんあります。
設計者としてではなくお客さんとしてこのお店を訪ね、素晴らしい料理やワイン、コーヒーについてもレポートできたらと思っています。
僕がデザイナーとして今できるすべてを注いで設計したこの空間。
近くまで行かれる機会があったら、是非お店を覗いてみてください。
若くて情熱的なオーナーが、僕がここに書ききれなかったことをたくさん話してくれると思います。
 
Music cafe & Gallery 
KAKULULU
 
東京都豊島区東池袋4-29-6
http://kakululu.com/

photo by : アトリエセツナ