デザイン事務所アトリエセツナの日々を綴るブログです。

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100脚の祈りの椅子 / Pray chair
こんにちは。

今日は、アトリエセツナ史上、もっとも大規模な家具の仕事をご覧いただこうと思います。


仙台市泉区にある泉聖書バプテスト教会様の会堂椅子です。

全部で100脚作らせていただきました。




この教会は、震災によって建物が大変な被害を受け、約二年の歳月をかけて再建されました。


ご縁があって会堂の椅子のご相談をいただいたのが、昨年の春先でした。そこからたくさんの打ち合わせを経てようやく完成したのが、この「祈りの椅子/Pray chair」です。



教会の椅子といえば誰もがイメージするのは、ベンチのようなかたちで数人が横並びに掛けるものだと思います。


しかし、今回ご要望にあがったのは、簡単に移動でき、スタッキング可能な椅子というものでした。教会の行事で会堂を広場として使う際に、簡単にスペースを作れるようにです。


スタッキングを可能にすることは原理上簡単ですが、そこに機能的な美しさと軽さと強度を兼ね備えることは、なかなかの難題でした。


思案を重ねるうちに思いついたのが、スタックするかたちを造形として取り入れるという手法でした。



座面の後ろ側にくぼみがあるのが分かるかと思いますが、ここにスタックする次の椅子の後脚が入っていきます。


機能として必要なかたちをチャームポイントとして成立させることができたと思っています。

部材はギリギリまで細く、接合部分の強度も考えながら構造を考えました。

また、たくさんの椅子が並ぶので、集合としての美しさも大切です。

空間が重くならないよう、背板の巾はミリ単位で検証しました。


この椅子はオイルフィニッシュで、塗装は教会の皆さんと一緒にワークショップ形式で行いました。

今後のお手入れをできるようにと、たくさんの方々が集まってくださいました。

参加してくださった皆さんは口々に「このワークショップで、教会そのものが自分たちのものとなった実感を持てた」とおっしゃっておられました。

100脚の椅子が並んだ景色を見るのは、本当にデザイナー冥利に尽きる経験でした。そしてなにより、教会の皆様と作り上げた空間を共有できたことは自分の今後の糧となりました。

椅子を収めた後も何度か教会に足を運びましたが、皆さんが椅子を愛し、教会を愛しておられるように感じられました。



「椅子がこの教会の自慢よ!」

と声をかけていただいた時には感無量でした。


塗装メンテナンスには毎年僕も参加し、一緒になってこの祈りの椅子を大切にしていこうと思います。

建築設計施工 : 株式会社 Shelter







新作/ fai work desk.
おばんでございます。

今日は新作のワークデスクをご覧いただこうと思います。


fai work desk




天板:ウォールナット無垢材+オイルフィニッシュ
脚部:Φ17.3スチールパイプ+粉体焼付塗装

◯製作
メタルワーク Oilstone Garage
NC加工 有限会社 佐藤工芸
塗装 株式会社 山形工業塗装


ウォールナット無垢材の天板。
独特の存在感は、他の樹種では得ることができません。






天板の面取りはNCでおこないました。
なだらかな天板面とふっくらとした裏面。エッジの処理で印象は大きく違うものです。
空間に溶け込むような天板を目指し、刃物との兼ね合いも考えながら選んだディテールです。



脚部の金属加工はお馴染みのOilstone Garageです。
今回も超絶技巧が冴えています。
この曲げ、手曲げなんです。ゾッとしますね。
最低限の設備で極限のパフォーマンス。

塗装は山形が誇る工業塗装工場、山形工業塗装さんです。
前回紹介したシリーズ第一弾のfai chairと同様、スウェードのようなしっとりサラサラな手触りです。
塗装工場の会長さんが「こんなのあるよ」と出してくれたサンプルが、まさに欲しかったテクスチャでした。
しばらくオリジナルの家具はこの塗装でいこうと思っています。


天板と脚部はノックダウン式となっています。
なるべく小さな梱包にすることで、遠方のお客様へも低コストでお届けすることを想定しています。
ジョイントコネクタなので、六角一本で簡単に組み立てることができます。

プレート部分は座彫りを施し、天板裏側とフラットに納まります。
「臓物まで美しく」です。
決して安い家具ではないので、所有する喜びを感じていただくために、このような細かな部分にも細心の注意を払います。

山形のものづくりの力を結集しての家具作りは、毎日がとてもエキサイティングです。
土地に培われた技術を結びつけ、ひとつのかたちにする。
たくさんの素材を用いる家具という分野には、それがピッタリとハマります。


日本一の家具屋を目指して、日々精進です。



photo by : アトリエセツナ
新作/ダイニングチェア/fai chair
 おばんでございます。

今日は新作のダイニングチェアを見て頂きます。
最近コツコツと作っていた椅子が、やっとお披露目できることになりました。

※写真をクリックすると大きな写真を見ることができます。

fai chair



13ミリのスチールロッドを曲げ加工して製作。
ライトな印象と有機的な曲線を得ることができました。

表面には特殊な粉体焼付塗装を施してあり、スウェードのようなマットな手触りです。

最近、家具をデザインする上で一番大切にしていることは「材料同士の儚い関係」です。
今回特に注力したのが、背面から見た景色です。


背板を受けるフレームはハンドルになり、そのまま後貫になります。



ラインを追う目線が滑らかに流れるように、何度も検証をおこないました。


負荷が最もかかる後脚と貫の接合部分は長い範囲で溶接をし、強度を持たせています。
ここがこの椅子のチャームポイントでもあります。


材料同士が関わり合い、構造を成し、頼り合う。
山を作るのは一本一本の樹木であるのと同じように、家具も様々な部材が全体を構成します。
練り上げた細かなディテールの積み重ねが、全体を作り上げます。

すべてに手を抜かず、最後まで諦めずにかたちにできました。


金属フレームは、毎度お馴染みになってきた凄腕メタル職人Oilstone Garage作です。
たくさんの難しい要求を軽々と受け入れ、今回も完璧な仕事をしてくれました。

アトリエセツナの設立以来、金属を多用してきた僕にとって、OG君との出会いは本当にありがたく、一騎当千の活躍をしてくれています。
「できないと思わず、やりたい放題設計してきてください。なんとかしますから_OG談」
できる職人は違いますね。
いつもありがとう。

この椅子はアトリエセツナの定番商品として、販売を開始します。
価格は¥35,700(intax)
お問い合わせはメールにてお受けいたします。


今年も残すところあと二ヶ月ですが、まだまだ新作をたくさん発表します。
アトリエセツナ × Oilstone Garageの作品に乞うご期待!



新作 Taro sofa.
こんにちは。

今日は新作のソファについて綴ります。

※画像をクリックすると大きな写真が観れます。


黒皮の鉄+ホワイトオークの組み合わせ。
素材を感じるソファです。
作品名はお客様の名前を頂いて[ Taro sofa/タロ ソファ ] としました。

住宅関連の仕事をされているお客様自ら設計・リフォームされたお宅に納めさせていただきました。


正面から。
アームの内々で1800mmとゆったり三人が座れる大型サイズ。
スチールでないと、このスッキリしたプロポーションは難しいです。


後ろから。

アームがそのまま背中側に回ってシートを支持する構造です。
フレームはすべてスチール製で、溶接による酸化皮膜もそのまま残してあります。
通常、塗装で隠れてしまう素材の表情を感じることができます。


ざっくり目のファブリックとオイルフィニッシュのホワイトオークの組み合わせ。
飲み物なども置けるように、アームのワイドを120mmとしました。

小さなお子さんがいるご家庭なので、スチールのエッジはすべて木部で包むように設計し、木部の面取りや塗料の材質にも注意を払いました。

今回デザイン面で特に力を注いだのは、部材と部材のはかない関係性。
部材の強度を引き出し、できるだけ細く、どのパーツが欠けても成立しないほど必要最低限の構造です。
素材同士の接点。手前と奥。表と裏。
何もしていないと思える程自然に見せる為には、たくさんのイマジネーションが必要でした。


初期のスケッチ。
ここから始まります。

メタルワークは、凄腕職人のOilStone君にお願いしました。


家具金物専門で仕事をしている彼は、僕のイメージを的確に捕らえ、完璧な仕事をしてくれました。
ビード(溶接の跡)が美しく、工芸的な美さえ漂います。
まだ若いのに職人歴10年。
これからのコラボが楽しみです。

今も次の新作にむけてOilStone君とコラボの最中です。
テーブルや椅子の新作も近々お披露目できそうです。

ではでは、週末最後の時間をお楽しみください。

セツナチェア neo.
こんばんは。
今日は昼の打ち合わせを終えてからずっとテーブルとソファのデザインをしている訳ですが、休憩がてらブログを更新します。

納品したばかりのダイニングチェアを、作っている写真を混ぜながらご覧いただきます。


セツナチェアneoです。

最近オーガニックなディテールに凝っています。

この椅子は僕がアトリエセツナを設立して始めてデザインした「セツナチェア」という処女作を、今の僕の解釈でRe:デザインしたものです。
初代セツナチェアに関して詳しくは、このブログの2008.10.19 Sundayの記事を見て下さい。
これが初代セツナチェアです。



初代から、背板の形状を受け継いでいます。
しかし、多くの面で構成されている初代セツナチェアとは反対に、今回のneoはなるべくワンスキン(面が切れ目なくつながっていく)になるようにデザインしました。

部材の加工は板厚を決めた後、NC加工で作ってもらいました。

木目の方向を考えながら、無駄なくレイアウトします。

高さのある背板は、このようなパーツを四枚合わせてダボ接ぎして作りました。

これは前後の貫のパーツです。

NC加工からあがった部材を、次は手加工で面を取ったりホゾを作ったりしていきます。
そして各パーツが揃ったらいよいよ組みです。

祈りを込めて組んでいきます。

一晩ボンドが乾くまで放置し、あとはひたすら仕上げます。

お客さんのご希望で、座面は白いビニルレザーの仕様です。まだお子さんが小さいということで、メンテナンス性を重視とのこと。

座面も木製のものを、サンプル用に作ろうかと思っています。
その時は、座面の構成も初代から継承したデザインにしようかな。

今回は四台作りました。
製作の為の時間がかなりタイトだったので、完成してすぐに宮城県の柴田町にあるみちのく工芸さんに届けました。

そして勅光先輩が作ったダイニングテーブルと共に京都のお客さんのもとへ旅立って行きました。

ひとつ作品を嫁に出してはまた次の作品を作る。
そんなデザインの無限ループの中に身を置いています。

では、スケッチに戻ります。


鳥縁
こんばんは。
今夜はこれから、お世話になった方々とご苦労様会です。
会場は、アトリエセツナで設計した山形市松見町の「鳥縁(とりえん)」にて。








お店の紹介は、次回、ゆっくりとします。
では、行って来ます。


新作。センターテーブルとチェスト。
こんばんは。

久しぶりにブログを更新します。

今日は、新作を見ていただこうと思います。

山形の企業で最高にかっこいい住宅を建てている株式会社Shelterさんの、新しくオープンしたモデルハウスに納めさせていただいた家具です。


玄関を入ってすぐ、とても気持ちの良い空間にあるチェスト。
階段のデザインにあわせて設計しました。
焼付の塗料も、階段の手摺にあわせて調色してあります。


二階に広がるリビングダイニングへの期待感を演出する装置として。
モダンな小道具を置いてもらっていました。

そして大空間へ。


柔らかな光の差し込むどこまでもすっきっとした空間です。



ステンレスのヘアライン仕上げのフレーム。
今回もスーパー職人さんに腕をふるってもらいました。


photo by : Atelier SETSUNA

強化ガラスの天板の下にはステンレスの板面があります。
ヘアラインが脚部へ繋がります。
ステンレスの上に透明なレイヤー感を出せればと狙いました。
ありがちなガラス天板になるのが嫌だったので、ソリッド感を追求しました。
まるでミラーのようなクリアな層の透明感が際立ちます。

置かれる小物やソファなどの家具もすべて決まっている中だったので、色味や存在感、空間の中での空気感を合わせながらの打ち合わせでした。
毎度いい話ができ、結果としていいものが仕上がっていきます。

このモデルハウスの見学をご希望の方は、下記をチェックしてみて下さい。


空間の写真もたくさん掲載されています。
建築途中の風景も丁寧に紹介されていますよ。

では、よい週末を。



神代杉のテーブル
ご無沙汰しております。

今日は久しぶりに作品の紹介をしたいと思います。

この作品は震災前に作ったものです。
世界が変わる前の、最後の作品です。


山形市内、某社の会議室のために作らせて頂いたテーブルです。
その会社の社長さんが長い間所有しておられた神代杉の二枚接ぎの天板。
神代杉とは火山の噴火で火山灰に埋もれ、腐らずに半化石化した杉です。とても貴重な材料で、独特の存在感があります。



誰もが見とれてしまうほど美しい木目でした。
そして、とてもワイルドな節。
あまくなりがちな柾目が、この大きな節によって緊張感を得ます。



脚部にはステンレスのヘアライン仕上げを。
腕のよい職人さんの一品です。
左側の天板のしたにチラッと見えるのは、プロジェクタを収める棚です。
細かい、あまり見えない部分にもしっかりデザインのエッセンスを加えました。



こんな会議室でプレゼンした日には、自分が敏腕デザイナーにでもなったような感じになりそうです。
写真の右側に少し見えている白いローテーブルは、天板がトラバーチンという石でできています。
多孔質の石で、荒っぽさと上品さが兼ね備えられた素材です。
ちなみに、アトリエセツナで石を使ったのはこれが初めてでした。

神代杉の天板の加工は、全面的に家具工房mokuさんのご協力をいただきました。
こんな代物をどうにかする勇気がありませんでした。
mokuさんと二人、木取りをどうするかで悩んだのも楽しい経験でした。

Photo by Atelier SETSUNA.

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この作品を収めたあと、3.11の震災が起きました。
半年以上が経ち、この作品に続く作品もたくさん作りました。
時間の流れはとても早く、たくさんのものを生むのには十分でした。
被災した、宮城に住む家族も、見た目には以前と変わらない毎日を送っています。
でも、心に巣食っている複雑な気持ちを整理するには、まだ時間がかかるかも知れません。

震災の直後に生まれた実家の四匹の子猫は大きくなって、そのうちの一匹は放浪の旅に出て、一匹は交通事故で死んでしまい、今は二匹と母猫の三匹が居候しています。

循環する命。

多くのことが変わってしまった世界で日々生きていると、命の質量保存の法則みたいなものの事を考えてしまいます。




多賀城市W邸壁面収納
多賀城市のW邸の壁面収納です。
iPhone写真ですが、チラッとご紹介します。


ポリエステルの化粧板とビーチの無垢材の複合素材です。

脇坂アーキテクツさんとのコラボ作品です。
詳細は後日、バシッと写真を撮らせてもらったらアップしますね。

では、三連休最後の夕方、よい時間を。
ご対面。


大変ご無沙汰しております。

目が回るような忙しさが続き、ブログの更新がおろそかになっておりました。
GWまでしばらくはこんな感じなのかなぁと、オープンを控えた店舗の設計をしながら思っては、お仕事を頂いている有り難さと、泣き言を言いそうな自分が葛藤しています。

そんな中、セツナメイドのテーブルに再会して来ました。
納品して一年以上が過ぎ、毎日大切に使われて、しっとりとした光沢感をまとっていました。

小さなお子さん二人がいて、結構ヘビーに使われているであろうテーブルですが、その木肌の良さは深まるばかり。
やはりオイルフィニッシュはいいですね。

家具屋をやっていてよかったと思う一日でした。